丹波篠山で「いつの間にか腕が上がらなくなった」という方へ
稲刈りや黒豆の収穫が一段落したころ、ふと気づいたら肩が動かしにくくなっていた。シャツの袖に腕を通す動きがつらい。棚の上のものに手が届かない。夜中に肩の疼きで目が覚める——丹波篠山では、農繁期が終わる秋から冬にかけて、こうしたご相談をいただくことが増えてきます。
「年のせいかな、しばらくしたら治るだろう」と放置していると、数か月後にはさらに動かなくなることがあります。反対に「痛くても動かさなければ」と焦って無理なストレッチを続けると、炎症が悪化してかえって長引かせてしまう場合もあります。
この記事では、五十肩(医学名:癒着性関節包炎)の仕組みと、3つの時期それぞれに合った対処をまとめます。丹波篠山でお悩みの方が、ご自身の状況を把握して動くための参考になれば幸いです。
兵庫県丹波篠山市|完全予約制
読むだけでは変わらない痛みは、一度ご相談ください
藤井翔悟治療院 丹波篠山院では、テレビ・医師向けメディアに出演する理学療法士 藤井翔悟の筋膜アプローチで、 痛む場所ではなく“原因の場所”から整えます。初回 2,980円/営業時間 10:00〜17:00(完全予約制)。
この記事でわかること
五十肩は「炎症期・拘縮期・回復期」という3つの時期に分かれる
時期によって、動かしてよいかどうかの判断が変わる
早い段階で時期を見きわめることで、回復が早まる可能性がある
すぐに病院を受診すべきサイン(レッドフラッグ)を知っておくことが大切
五十肩は多くの場合、適切な対処をすれば2〜3年以内に回復する経過をたどるとされています。しかし何もしなければ長引く場合もあり、「どの時期に何をするか」が回復の速さを左右すると考えられています。
五十肩でお悩みの方へ、当院のアプローチ もあわせてご覧いただけると、この記事との理解がつながりやすくなります。
五十肩の正体——関節包に何が起きているか
「五十肩」という言葉は日常的に使われますが、医学的には癒着性関節包炎(adhesive capsulitis) と呼ばれます。名前の通り、問題の中心にあるのは「関節包」という構造です。
関節包とは何か
肩関節は、上腕骨の頭(上腕骨頭)と肩甲骨のくぼみ(関節窩)がかみ合う形で動きます。この骨と骨のつなぎ目を外側から袋のように包んでいるのが関節包 です。関節包は薄い膜でできており、内部に滑液が分泌されることで骨同士の動きをなめらかにしています。
五十肩では、この関節包に炎症が起き、時間とともに線維化(かたくなること)・癒着(内側でくっつくこと)が進みます。その結果、関節包が全体的に縮んで肩の動きが制限されます。「肩が固まった」という感覚は、まさにこの状態を指しています。
肩関節の構造(模式断面図)
肩峰
肩峰下滑液包
関節包
関節窩
(肩甲骨)
上腕骨頭
上腕骨幹部
肩関節の模式断面図。ゴールド線(関節包)が炎症・線維化の主な場所。
誰に起きやすいか
世界的な統計では、一般人口の2〜5%が五十肩を経験するとされています(Li et al., StatPearls 2025)。発症年齢は40〜60歳代に集中しており、平均的な発症年齢は約55歳。やや女性に多く(男女比は約1.4:1)、利き腕よりも非利き腕に起きやすい傾向が報告されています。
丹波篠山では、農作業で同じ動作を繰り返す方や、車での長距離移動が多く肩まわりに緊張が蓄積しやすい生活環境がみられます。また、糖尿病や甲状腺疾患のある方は五十肩が起きやすく、かつ回復に時間がかかりやすいことが知られています(Vita et al., Journal of Ultrasound 2024)。
3つの時期——五十肩の経過
五十肩は一般的に、次の3つの時期に分けて理解されます。
炎症期(freezing phase):2〜9か月 ——夜間痛を含む強い痛みが中心。肩を動かすと激しく痛み、可動域の制限も始まる
拘縮期(frozen phase):4〜12か月 ——強い痛みは少し落ち着くが、肩の動きの制限が顕著になる。腕が上に挙がらない・後ろに回らない状態がピークに
回復期(thawing phase):12〜24か月以上 ——痛みが減り、少しずつ可動域が戻ってくる。適切なセルフケアがこの時期を早める可能性がある
全体の経過は、早い方で1年、長い方では2〜3年に及ぶこともあります。「現在どの時期にあるか」を把握することが、適切な対処への第一歩です。
五十肩の3時期——痛みと可動域の経過
炎症期
拘縮期
回復期
時間の経過
痛みの強さ
動ける範囲
強
弱
五十肩の3時期における痛みと可動域の変化(模式図)。炎症期に痛みのピークがあり、拘縮期に動きの制限が最大になる。
なぜ五十肩は長引くのか
五十肩が長引く理由は、大きく2つの視点から整理できます。「時期に合わない対処による悪化」と、「痛む場所の奥にある背景」です。
炎症期に動かしすぎると長引く
五十肩への対処でよくある誤解が、「とにかく動かすほうがよい」という思い込みです。炎症期(痛みが強い時期)には、無理に動かすことで関節包への機械的刺激が加わり、炎症が広がりやすくなります。「痛みを我慢して腕をグルグル回した」「毎日ストレッチしたのにどんどん悪化した」という経験をお持ちの方は、この状態に当てはまっている可能性があります。
一方、拘縮期・回復期に入って痛みが落ち着いてきたら、適切な範囲で動かすことが可動域の回復に役立つとされています。同じ「肩を動かす」という行為でも、時期によって効果が正反対になりえます。
「肩が痛い」=「肩だけが問題」ではない
五十肩の痛みは肩に感じますが、その炎症を長引かせている背景には全身の状態が関わっていることがあります。たとえば血糖値の管理が不十分な糖尿病、甲状腺機能の低下、慢性的な睡眠不足などが、炎症の回復を妨げると考えられています。
また、丹波篠山の農作業では腕を繰り返し使う動作(草刈りの振り、収穫の中腰と腕の伸ばし)で肩まわりの筋肉に慢性的な疲労が蓄積しやすい環境があります。農繁期が終わって体を休めたタイミングで「実は肩が相当消耗していた」と気づくことも少なくありません。
正常な関節包(左)と五十肩の関節包(右)の比較
正常
薄い関節包
(正常)
五十肩
肥厚・癒着した
関節包
関節腔が広く、動きがなめらか
関節包が縮み、内部が狭くなる
正常な関節包(左)と五十肩での肥厚・癒着した関節包(右)の比較。五十肩では関節包が全体的に収縮し、動ける空間が狭まる。
放置した場合のリスク
自然に回復する場合もありますが、治療をしなかった場合は10〜20%の方に痛みや動きにくさが残るとされています。適切な対処を行った場合は約80%の方が正常またはほぼ正常な肩の機能を取り戻すと報告されています(Li et al., StatPearls 2025)。
やってはいけないこと
五十肩に対してよかれと思って行われる対処の中に、回復を遅らせる可能性があるものがあります。特に炎症期(痛みが強い時期)は注意が必要です。
1. 痛みをこらえて強く動かし続ける
「動かさないとさらに固まる」という心配から、激しい痛みをこらえながら繰り返し腕を上げ続ける方がいます。炎症期には、強い力で動かすことで関節包への刺激が加わり、炎症が悪化しやすくなります。目安として、運動後に痛みが2時間以上続く場合は、その動きが過負荷になっている可能性があります。
2. 強い力で揉む・叩く
肩まわりを強くもんだり叩いたりすると、一時的には血行が良くなったように感じることがあります。しかし炎症が起きている関節包に外部から強い刺激を与えると、炎症が広がりやすくなる場合があります。「揉んだ翌日にさらに動かなくなった」という経験をお持ちの方は、この状態に当てはまっている可能性があります。
3. 回復期になっても何もしない
拘縮期・回復期に入り、痛みが落ち着いてきたタイミングで安心して何もしないでいると、関節包の癒着が進んで可動域がなかなか戻らないことがあります。痛みが軽くなってきたと感じたら、適切な範囲での運動を始めることが回復を後押しするとされています。
炎症期に避けたい3つの行動
✕
痛みをこらえて
強く動かし続ける
炎症期には関節包への
過剰な刺激になりえる
→ 炎症が悪化しやすい
→ 回復が遅くなる場合がある
✕
強い力で揉む・叩く
(炎症部位への強刺激)
炎症が起きている関節包に
外部刺激を与えると悪化も
→ 翌日さらに動かなくなる
場合がある
✕
回復期に何もしない
(痛みが減っても放置)
癒着が進行し、可動域が
なかなか戻らなくなる
→ 慢性的な動きにくさが
残りやすくなる
炎症期に特に避けたい3つの行動。時期を見きわめて対処を変えることが大切。
このような症状があれば、まず病院へ
以下に当てはまる場合は、五十肩だけでなく別の病気が隠れている可能性があります。整体や治療院ではなく、まず整形外科や内科など医療機関を受診することをおすすめします。
発熱や全身の倦怠感をともなう肩の痛み ——化膿性関節炎(感染)など炎症性疾患の可能性がある
安静にしているのに痛みが急激に強くなる ——腫瘍や骨折などが関わっている場合がある
肩の動きとともに急に力が入らなくなった(腕が落ちる) ——腱板断裂などの可能性がある
首から腕にかけてしびれや電気が走るような感覚がある ——頸椎椎間板ヘルニアや胸郭出口症候群など神経の問題の可能性がある
転倒やぶつかるなどの外傷後に急に動かなくなった ——骨折や脱臼が疑われる
がんの既往がある方の新しい肩の痛み ——転移の可能性を除外するために画像診断が必要
上記に当てはまらない、ゆっくりと始まった肩の痛みと動かしにくさであれば、五十肩の可能性が考えられます。ただし、ご自身だけで判断するには限界があります。「おかしい」と感じたら、まず医療機関で診断を受けることを優先してください。
自分でできること——時期別のセルフケア
五十肩のセルフケアは、時期によって目的が変わります。炎症期は「炎症を悪化させない」こと、拘縮期以降は「可動域を少しずつ取り戻す」ことが中心になります。以下は一般的な目安であり、個人の状態によって適切な内容は異なります。
炎症期(痛みが強い時期)のケア
炎症期の基本は安静と過剰刺激の回避 です。関節全体を完全に固定する必要はありませんが、痛みが出る範囲の動きは最小限に抑えます。
入浴などで血流を促すことは構いませんが、その直後に強いストレッチは行わないこと
就寝時に夜間痛が出やすい場合は、患側の肩の下に薄いクッションを置いて腕の重さを分散させると楽になる場合があります
ズキズキする急性の痛みには冷却(アイスパックをタオルに包んで15分程度)が痛みを和らげる助けになることがあります
拘縮期・回復期のセルフケア——コードマン体操(振り子運動)
痛みが落ち着いてきた拘縮期以降は、コードマン体操 (振り子運動)を取り入れることが検討できます。この運動は、自分の筋力で腕を動かすのではなく、体の重心移動を使って腕を「ぶら下げながら揺らす」点がポイントです。筋肉を強く収縮させずに関節を動かせるため、炎症への刺激を最小限に抑えながら癒着の進行を緩やかにする助けになると考えられています。
テーブルや椅子の背もたれに健側(痛くない方)の手を置き、体を前に約45度傾ける
患側(痛む方)の腕の力を完全に抜いて、重力で自然に垂らす
体を小さく前後・左右に揺らし、腕が振り子のようにゆっくり動くようにする
前後・左右・小さな円を描くように、それぞれ10〜20回ずつ行う
1日2〜3回程度。腕の重さだけで動かし、自分で腕を振り回さない
痛みが強くなる場合は中止し、専門家に相談することをおすすめします。
コードマン体操(振り子運動)の手順
①姿勢をつくる
テーブルに健側の
手をつき体を傾ける
患側の腕は
力を抜いて垂らす
②前後に揺らす
←→
体を前後に小さく揺らし
腕を振り子のように動かす
自分で腕を動かさない
体の揺れに任せる
③円を描く
小さな円を描くように
各方向10〜20回ずつ
1日2〜3回
注意点
・痛みが強くなる場合
はすぐに中止する
・腕を自分で振り回す
のは逆効果
・炎症期(痛みが
非常に強い時期)は
無理に行わない
・拘縮期以降が
取り入れやすい時期
の目安
コードマン体操(振り子運動)の3ステップ。腕の重みを利用して関節をゆっくり動かす。炎症が強い時期は無理に行わない。
日常生活の工夫(丹波篠山の農家の方へ)
農作業中はアドレナリンが出て痛みを感じにくくなりますが、その後に炎症が進むことがあります。農繁期には以下の点を意識することが負担軽減の助けになります。
腕を頭より高く持ち上げる動作はなるべく短時間にとどめる
作業後は炎症期には肩を温めすぎない(温めた直後に強いストレッチも避ける)
長時間同じ姿勢を続けた後は、小さな「肩の前回し」で肩甲骨まわりの血流を促す
車での移動が多い場合、ハンドルを持つ腕の高さに注意し、シートの高さや角度を調整する
当院の考え方——「時期の見立て」から始める
藤井翔悟治療院 丹波篠山院では、五十肩のご相談を受けた際にまず「現在どの時期にあるか」を確認することから始めます。
時期の見きわめ方
時期の見立てには、問診(痛みの出方・夜間痛の有無・発症からの期間)と可動域の確認の両方を組み合わせます。腕を外側に回す動き(外旋)、後ろに回す動き(内旋)、真横に上げる動き(外転)などを確認することで、どの方向にどの程度の制限があるかを把握します。
五十肩の特徴として、「外旋方向の制限が最初に出やすい」点があります(「外回しができない」「車のシートベルトに手が届きにくい」など)。この動きの制限パターンが、腱板損傷など他の肩の問題との見分けに役立ちます。
時期に合わせた施術の考え方
炎症期の方には、関節包への強い直接刺激は行いません。肩まわりの筋肉の緊張を和らげながら、炎症が落ち着く状態を整えることを優先します。拘縮期以降の方には、関節包の柔軟性を少しずつ取り戻す施術と、ご自宅でのセルフケアの手順をあわせてお伝えしています。
施術の効果には個人差があります。糖尿病や甲状腺疾患などの基礎疾患がある場合は、主治医との連携をお勧めすることがあります。当院の詳しい場所はご予約時にご案内します。お電話(075-748-1410)は10:00〜17:00に受け付けています。
時期と対処の目安——まとめ
項目
炎症期
拘縮期
回復期
期間の目安
2〜9か月
4〜12か月
12〜24か月以上
主な症状
強い痛み・夜間痛
動きも制限
痛みは落ち着くが
動きが最も制限
痛み減少・
可動域が回復傾向
基本の対処
安静・過剰刺激を避ける
強い運動はしない
コードマン体操など
軽い可動域運動を開始
積極的な可動域訓練
筋力の回復も
五十肩の3時期と、それぞれの対処の目安。時期によって「動かすかどうか」の判断が変わる。
よくあるご質問
Q. 五十肩は必ず自然に治るのですか?
A. 自然経過で回復することはありますが、「必ず治る」とは言えません。研究では、適切な対処を行うことで約80%の方が正常またはほぼ正常な肩の機能を取り戻すとされています。一方で、治療をしなかった場合に10〜20%の方に慢性的な痛みや動きにくさが残るとの報告もあります(Li et al., StatPearls 2025)。早めに時期を見きわめて対処することが、回復への近道と考えられています。
Q. 五十肩は温めるのと冷やすのとどちらが良いですか?
A. 時期によって変わります。炎症期(痛みが強い時期)の急性の痛みには冷却(アイスパックをタオルに包んで15分程度)が和らげる助けになることがあります。拘縮期・回復期に入り痛みが落ち着いてきたら、入浴などで体を温めてから可動域の運動を行うほうが効果的とされています。ただし温めた直後に強いストレッチをすることは避けてください。
Q. 五十肩と腱板断裂を自分で見分けることはできますか?
A. 確実な区別は画像検査(MRI・超音波など)なしには難しいです。一般的な傾向として、五十肩は「あらゆる方向への動きが制限される」ことが多いのに対し、腱板断裂は「腕を自分で上げるのはつらいが、人に持ち上げてもらうと上がる(他動的には動く)」という特徴があることがあります。急な筋力低下や外傷後の症状がある場合は整形外科の受診をおすすめします。
Q. 農作業は続けてよいですか?
A. 炎症期に痛みをともなう農作業を長時間続けることは、回復を遅らせる可能性があります。作業の種類や痛みの程度によっても判断が変わるため、「この動きは問題ないか」と個別に確認したい場合は施術の中でご相談ください。一律に禁止とは言えませんが、腕を頭より高く挙げる動作や肩に強い負荷がかかる動作は最小限にとどめることが負担を軽くする助けになります。
まとめ
五十肩(癒着性関節包炎)は、肩関節を包む関節包の炎症と線維化によって肩の動きが制限される状態です。「炎症期・拘縮期・回復期」という3つの時期があり、それぞれに適切な対処が異なります。特に炎症期に強い刺激や無理な運動を加えることは逆効果になる場合があります。
丹波篠山で農作業や車移動の多い生活の中で肩の不調を感じている方は、早めに時期を見きわめて対処することが回復への第一歩です。気になることがあれば、まずお気軽にご相談ください。
Li D, St Angelo JM, Taqi M. Adhesive Capsulitis (Frozen Shoulder). In: StatPearls. StatPearls Publishing; Updated 2025. Available at: https://www.ncbi.nlm.nih.gov/books/NBK532955/
Vita F, Pederiva D, Tedeschi R, et al. Adhesive capsulitis: the importance of early diagnosis and treatment. Journal of Ultrasound. 2024. PMID: 38844748. DOI: 10.1007/s40477-024-00891-y
本記事は一般的な情報提供を目的としたものであり、診断・治療など医療行為に代わるものではありません。施術の効果には個人差があります。症状が続く・悪化する場合は医療機関にご相談ください。